公務員試験論文の前提として、論文の基本の型があります
まだチェックしていない方は、まず基本の型を確認してください
導入部分を書けない理由
論文の導入(序論)って本当に難しいですよね
私も昔は何を書いたらいいかわからず、ペンを持ったまま机でじっとしていました…
皆さん疑問に思うはずです
なぜ書けないのだろう?
準備をしていないからです
なぜみんなスラスラ書けるのだろう?
準備をしているからです
では、論文を書ける人はどのような準備をしているのでしょうか?
書ける人は論文のネタを準備している
論文を書ける人は必ず論文のネタを準備しています
そして、できるだけ多くのネタをストックしています
ネタのストックの重要性についてはこちらで解説していますので確認してください
論文のネタのストックは多ければ多いほど本番で有利です
私がおススメする、ストックを増やす方法は、ずばり過去問です
理由は、問題の傾向が大幅に変わることはあまりなく、ネタの再利用ができるからです
特別区の過去問で実践してみる
それでは、特別区の過去問を例に実際にやっていきましょう!
東京都では昨年、転出者数が転入者数を上回る月が続きました。転出超過等によって人口が減少すると、税収の減少や地域コミュニティの衰退など様々な問題をもたらします。
また一方で、特別区の抱える公共施設の多くが老朽化しており、人口減少がもたらす更なる社会変化に対応した、施設の企画・管理・利活用が求められています。
このような状況を踏まえ、区民ニーズに即した魅力的な公共施設のあり方について、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。(1,000字以上1,500字程度)
特別区Ⅰ類R3
きれいに3段落に分かれていますね
特別区はこのパターンが多いです
では、段落ごとに思いついたことや調べたことをメモしていきます
第1段落(特別区を取り巻く状況)
東京都では昨年(令和2年)、転出者数が転入者数を上回る月が続きました。転出超過等によって人口が減少すると、税収の減少や地域コミュニティの衰退など様々な問題をもたらします。
定番の人口問題ですね
この年の前年は東京から出ていく人が多かったようです
なぜ転出超過になったのでしょう?
令和2年なのでコロナの影響ですね
テレワークの推進と密を避けたいという思いが重なり、家賃の高い東京にいる必要が無くなりました
次に、人口減少により、税収と地域コミュニティに問題が生じるとあります
これだけ読むと、東京の人口は減少したように感じます
実際はどうだったのか調べてみましょう
『東京 人口動態』で検索です。
東京都が公表している資料が出てくるかと思います
見づらいと思うかもしれませんが、皆さんが将来作るかもしれない資料です
今のうちに慣れておきましょう
(私見ですが、東京都の資料はトップクラスで見やすいです)
資料を確認してみると、なんと、転入超過で、人口もわずかですが増加しています。
もし論文で「昨年、東京の人口が減少した」なんて書いたら一発でアウトです
調べて良かったですね
ただし、今後東京でも人口減少が見込まれていることは覚えておきましょう
ここでのメモです
- 新型コロナウィルス感染拡大の影響により、テレワークをはじめとした密の回避が進んでいる
- 地域コミュニティの希薄化が一層進む恐れがある
- 東京都の人口は増加傾向だが、将来は減少していくことが推測されている
第2段落(特別区の抱える課題)
また一方で、特別区の抱える公共施設の多くが老朽化しており、人口減少がもたらす更なる社会変化に対応した、施設の企画・管理・利活用が求められています。
ここでは特別区の課題を挙げてくれています
問題によっては、自分で自治体の課題を考えることもあります
では、施設の老朽化の何が問題なのか考えてみましょう
公共施設全般ですが、いまだに高度経済成長期に建てられたものが多いです
当然高額な維持費がかかるわけですね
次に、人口減少がもたらした社会変化を考えます
定番の高齢化ですね
施設関係ではバリアフリー化が課題となります
施設の企画・管理・利活用とは?
簡単に言えば、施設の数の見直しや施設運営の効率化です
具体的には、施設の集約、運営方法の変更、転用あたりですね
ここでのメモです
- 公共施設には昭和時代(高度経済成長期)に建てられたものが多く、維持費が高い
- 高齢化によるバリアフリーの需要に応えられていない
- 施設の数の見直しや施設運営の効率化が必要
第3段落(設問)
このような状況を踏まえ、区民ニーズに即した魅力的な公共施設のあり方について、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。
やっと設問にたどり着きました
「区民ニーズに即した魅力的な公共施設」を実現させるために必要な策を考える問題です
簡単に言えば、
区民が公共施設を利用しやすくする、また快適に利用できるようにするにはどうすればいいですか?
と聞いています
コロナや人口動態について語っても、得点にはなりません
さらに、
あなたは特別区の職員として、何を推進すべきだと思いますか?
という条件が付いています
これがとても重要です
もし、あなたが何かの専門家で、素晴らしい解決策を考えついても、自治体職員ではできないレベルであれば、得点にはならないわけです
では、自治体職員できることは何でしょうか?
費用の削減をはじめとした効率化や住民サービスの向上ですね
解決策を考える際に、この視点を外さないようにしてください
ここでのメモです
- 区民が利用しやすい公共施設にする
- 区民ニーズを反映しやすい公共施設にする
メモをまとめる
ようやく問題の分析が終わりました
これまでのメモをまとめます
- 新型コロナウィルス感染拡大の影響により、テレワークをはじめとした密の回避が進んでいる
- 地域コミュニティの希薄化が一層進む恐れがある
- 近年における東京都の人口は増加傾向だが、将来は減少していくことが推測されている
- 公共施設には昭和時代(高度経済成長期)に建てられたものが多く、維持費が高い
- 高齢化によるバリアフリーの需要に応えられていない
- 施設の数の見直しや施設運営の効率化が必要
- 区民が利用しやすい公共施設にする
- 区民ニーズを反映しやすい公共施設にする
解答例
これらを基に文章にしていきます
導入の最後は「特別区職員として次の3点(解決策)に取り組む」で終わらせましょう
目標は400字です。
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、テレワークをはじめとした密の回避が急速に進んでいる。都心から郊外へ住居を移動する人々が多く発生したため、東京都の人口動態は、近年続いていた社会増が急激にペースを緩めることとなった。また、今後、東京都の人口は減少していくと推測されており、税収減や地域コミュニティの希薄化が一層進む恐れがある。そのような中、特別区では、昭和時代に建設された公共施設が多く、膨大な維持費が財政を圧迫している。さらに、高齢化が進み、バリアフリー化が求められているにもかかわらず、老朽化した施設では住民ニーズに応えられていない現状がある。特別区にとって、公共施設の見直しや運営の効率化は喫緊の課題である。区民ニーズを反映し、区民が利用しやすい公共施設を実現するほか、長期的な視野から施設を運営することが特別区に求められている。これらを実現するため、私は特別区職員として、次の3点に取り組むべきだと考える。(409字)
それとなく、文章にしてみました
論文を書きなれていない方にとっては、大変な作業だと思います
しかし、時間はかかっても、できない作業ではありません
この作業を過去問で繰り返すことで、論文のストックが増えていきます
導入の次は課題の解決策です
こちらの記事をご覧ください